『星の王子さま』第8章 王子さまは美しい花に恋をする




こんにちは、えりえりです!

 

うっとりするような美女に遭遇したら、恋に落ちてしまいますね。今回ご紹介している『星の王子さま』に登場する王子さまも、その一人。ある日、芽を出した、素朴な一輪の花に、王子さまは一瞬で心を奪われてしまいます。

 

「あなたはなんと美しい方だろう!」

 

そう王子さまは言いました。その花は、花びらが一重で、少しも場所ふさぎにならない、誰の邪魔もしないほど小さな花だったそうです。どこからともなく運ばれてきたたねから、ある日芽を出したのだそうです。

 

王子さまは、ほかの芽とは違うその芽をすぐそばで見張っていました。バオバブかな~と思っていたそうですが、その低木はすぐに成長が止まり、一つの花をつけ始めたのです。大きなつぼみが育っていく過程を見守っていた王子さま。そこから、何か奇跡のようなことが起こるかもしれないと期待を膨らませていました。

 

その花自身にも、こだわりがあり、花弁を一枚一枚ととのえていて、美しさにいっぱい輝いてから姿を見せたかったのだそうです。王子さまが「彼女の神秘的なお化粧」と呼ぶこの準備、花の成長のことですね。美しさを最大限にするための。

 

花は王子さまに存分に愛されたかったのでしょうね。美しく成長した姿を自慢したかったし、認めて欲しかったのでしょうね。

 

でも、その花はあまり謙虚ではなかったのです。徐々に、王子さまはその花の虚栄心に苦しみ始めます。気難しくて、ご機嫌を取るのがやっかいなお相手でした。

 

その花に恋心を抱いた王子さまは、複雑な思いを抱えながらも、その花の優しさや弱さを知り、やはり愛さずにはいられないことに気づきます。

 

『星の王子さま』には、曖昧な表現や意味の深い言葉がちりばめられています。子どものための童話にしては、内容が深いですし、大人が読んでも、読み手によって様々な解釈が生まれると思います。

 

この第8章の王子さまの言葉、

 

「あのとき、ぼくはなにも理解できなかったんだよ!彼女の言葉ではなく、行為によって彼女を判断するべきだったのに。決して彼女から逃げ出すべきではなかったんだ!…花って本当に矛盾しているんだから!けれども、ぼくは幼すぎて、その矛盾を愛することができなかったんだ」

スポンサードリンク

 

読者は、果たして王子さまが何のことを言っているのだろうと不思議に思うでしょう。次第に、『星の王子さま』を読み進めていくとわかるのですが、王子さまには花に対する特別な強い想いがあったようです。

 

この王子さまと素朴な一輪の花との出逢いですが、なんだか出産したときの母子のファーストコンタクトにそっくりなんです。

 

陣痛で痛い思いをして、文字通り命をかけて、お母さんがこれ以上ないぐらいものすご~く頑張ったお陰で、生まれてきてくれた命。おぎゃあおぎゃあと泣きながら、初めてわが子の姿を見て、抱いてみるお母さん。なんてかわいいんでしょう。なんて愛おしいのでしょう!お母さんは感動と喜びでいっぱいです。

 

重さわずか3キロほどの小さな命。生まれたばかりの瞬間は、愛おしい気持ちで一杯です。ですが、これからが本番。新生児の育児は時間と体力と、そして自分の欲求との闘い。お母さんがどんなに眠くても3時間毎に起き上がって授乳しなければなりません。それだけ頻回に栄養をとるのですから、排尿や排便の回数も同じだけになりますよね。しょっちゅうおむつ替えすることになります。お腹が空いたから泣く、眠いから泣く、寂しいから泣く、夜だから泣く、なぜか理由もわからないけど泣く、泣く泣く泣く…。赤ちゃんは一日中泣いています。

 

出産を終えたばかりのお母さんは、戦いを終えた後のように体がぼろぼろですから、体力もまだ回復していません。そんな中、自分も眠いし、お腹も空くし、家事もしなくてはならない。そして、赤ちゃんは泣いてばかり。極めつけは、育児に協力的でない夫だったり…。新米ママだったら、ストレスでノイローゼ気味になったり、うつ状態になったりしてしまうかもしれませんよね。兄弟がいれば、上の子のお世話もちゃんとしてあげないといけないし。あ、これは私の経験談です!

 

初めての育児では、「赤ちゃんよ、死なないでおくれ」とばかりに、こわごわ赤ちゃんに接してしまいます。

 

きっと王子さまも、初めて恋をしたのかなと勝手に推測しているのですが、その花がどうかご機嫌よくいてくれるためにいろいろと必死だったのでしょうね。でも、わがままだし、強がりなどを言ってくるので、相手をするのは大変だったようです。

 

そして、第9章では、王子さまはその花とお別れをすることになります。

 

引用元 『星の王子さま』アントワーヌ・ド=サンテグジュペリ 小島敏明訳 第三書房

 



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)