『星の王子さま』第10章 初めての小惑星との出会い 一人の王さま




こんにちは、育児真っ最中のえりえりです!

 

いよいよ、王子さまは自分の星を出発し、他の小惑星に着陸します。最初の小惑星には、王様が住んでいました。

 

深紅の服と白貂の毛皮を着て、たいへん簡素だが威厳のある玉座に腰かけていた。

 

とても偉い王さまなのでしょうね。そして、王子さまを見るなり、

 

「やあ!家来がきた!」

 

と大声で喜びます。家来ですって?王さまたちにとって、世の中がきわめて単純であるということを、王子さまは知りませんでした。つまり、王さまにとって、全ての人間が家来なのです!

 

「もっとよく見えるように、近う寄れ」

 

この王さまは、誰かに対して初めて王さまになることが出来たようで、非常に鼻高々です。

 

疲れていた王子さまは、あくびをしてしまいます。それを怒った王さまは、エチケットに反するとして、あくびを禁止しました。王子さまは、あまりに長旅で寝ていないことを明かし、すっかり恐縮して、理由を話します。すると、

 

「それなら、あくびをするように命令する。ここ数年来、あくびをする人間を一度も見たことがない。あくびは、わしにとって興味津々じゃよ。さあ!もう一度、あくびをしたまえ。これは命令だ!」

 

などと、王さまが言うのです。そんな風に言われても、王子さまもあくびをしづらいですよね。顔をあからめてしまします。

 

「えへん!えへん!それでは、わしが…命令する、あるときは、あくびをし、あるときは…」

 

おかしな命令ですよね。こんな命令ってあるでしょうか。口ごもった王さまは機嫌を損ねてしまいます。なにしろ、気位の高い王さまですから。

 

自分の権威が尊重されることに何よりも執着していたから。命令に従わないと、容赦しなかった。彼は絶対君主だった。

 

怖いですね~!それが王さまというものなのでしょうか。「王さま」というと偉そうですが、これを「子ども」に置き換えても、あるあると思いませんか?特に、2~3歳ぐらいの小さな子どもだと、いろいろと自分の思い通りに親を動かしたがります。「自分はこうしたいから、その通りにやって~」アピールは凄いですよね。

 

ところで、王さまは、同時に、

 

たいへんなお人よしだったので、分別のある命令をくだしていた。

 

ということです。

 

そんな王さまですが、王子さまが聞くところによると、「いっさいを」支配しているのだとか。自分の惑星とほかの惑星など、すべてを。絶対君主であり、宇宙の君主でもあったのですね。本当でしょうかね?そんなことできるのでしょうか。王さまはそのつもりなのでしょうけど…。

 

日の入りが見たいので見せてくださいと頼んだ王子さまですが、王さまは見せてあげると言いながらも、

 

「統治上、状況が都合よくなるのを待つとしよう」

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と言ったきり、それがいつになるのかもはっきりしないままでした。当然、王子さまは日の入りをみることが出来ませんでした。あれれ、これでは、全てを支配しているとは言えませんよね。

 

退屈した王子さまは、もう出発しようとします。すると、家来に逃げられたくない王さまは、

 

「発ってはいけない、きみを大臣にしてあげる!」

「法…法務大臣に」

 

などと、次々に王子さまをあの手この手で引き留めようとします。王子さまに権力を与えれば喜んで留まるとでも思ったのかもしれませんね。王子さまも同じように権力が欲しいタイプの人間なのでしょうか。きっと違うでしょうね。

 

王さまは、国を一巡りしたいといいますが、周りには誰もいません。もし、王子さまが法務大臣になっても、裁かれる相手もいません。すると、王さまは、

 

「では、自分で自分を裁くがいい。それがいちばん難しいことだ。他人を裁くよりも、自分自身を裁く方がはるかに難しい。もし、自分を裁くことができたとしたら、それはおまえが本当に賢い人間だからだよ」

 

うーむ、これはなかなか鋭いことを言い当てていると思います。人の批判をするのは簡単だけれど、自分自分のことを批判したり、反省するのは簡単ではありませんよね。子どもっぽいと思われる王さまも、ときには良いことを言いますね。

 

ですが、王子さまは

 

「ぼくはね、どこにいたって自分で自分を裁くことができるんです。ここに住む必要はありません」

 

ですって。自信たっぷりですね。確かに、場所は関係ないと思います。どこにいたって、自分を裁こうとすることは可能です。が、本当に裁くことができるかどうかは別問題ですね。

 

そして、王さまは夜中にうろちょろ動き回るネズミがうるさいから死刑にしてくれと王子さまに頼み、それではかわいそうだから恩赦を与えろとさらに命令します。またもや、王さまの矛盾だらけの命令の繰り返しです。ネズミを死刑にするのを嫌がる王子さまは、立ち去ろうとします。もう、関わりたくないのが本音でしょうね。そして、

 

「もし陛下がきちんと命令に従って欲しいとお望みなら、分別のある命令をおくだしになりますように。たとえば、すぐに出発しなさい、とか、ぼくにおっしゃるのです。

 

なかなか王子さまも賢いですね。王さまにそう命令されればやっと立ち去れます。ですが、王さまは頑固で、大使にしてやるぞなどと言い、王子さまの出発を阻みます。

 

《おとなって本当に奇妙だな》

 

これが、王子さまの感想でした。おとなの自己中心的な考え方や態度を不思議に思ったのでしょう。それもそうですよね。それにしても、王子さまは冷静ですね。

 

第11章に続きます。

 

引用元 『星の王子さま』アントワーヌ・ド=サンテグジュペリ 小島敏明訳 第三書房

 

 



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