『星の王子さま』第12章 飲み助あるいは酔っ払いの星




こんにちは、育児真っ最中のえりえりです!

 

第12章に登場するのは、飲み助です。いつもお酒を飲んでいる酔っ払いです。飲み助はひたすらお酒を飲み続けます。彼の周りはお酒の瓶だらけ。

 

王子さまは聞きます。どうして、お酒ばかり飲んでいるのか。すると、

 

忘れるためだよ。

恥ずかしいということを忘れるためたよ。

酒を飲むのが恥ずかしいのさ

 

そう言ったきり、飲み助は黙り込んでしまいます。寂しいですね。もうお酒を飲むこと以外、何もできないのですね。かわいそうな、飲み助に、救いの手を…!

 

欲望が抑えられないというのは、本人が一番苦しいでしょうね。わかっているのに止められない。どうすれば良いのでしょうか。と、私はすぐに解決策の方を考えてしまうのですが、王子さまはこの星でも、こんな感想を持ちます。

 

《おとなって、まったく本当に本当に奇妙だなあ》

 

このように感じる王子さまの気持ちはわからなくありませんね。でも、なぜ人はお酒を飲むのでしょう。どうして飲みたくなるのでしょう。というか、飲まなくてはならなくなるのでしょうか?

 

人はいつも幸福であるとは限りません。生きていると楽しいことばかりではないので、辛いことや悲しいことに出逢います。

 

そもそも、例えばですが、日本人がお酒を飲んできた歴史からすると、辛いから悲しいから飲み始めたというのではないらしいです。

 

1年の労働が終わるころ、作物の収穫の時期に,その年を振り返って収穫を祝い、神に感謝する気持ちを込めてお酒を飲み始めたのだそうです。これはおめでたい行為ですよね。

 

お酒の作用として、気分を高めてくれることが大事だったのですね。たしかに、商売や仕事のお付き合いで、友人や同僚との関係を良好にするために一役買ってくれますよね。普段の食事や家族のだんらんにももちろん同じことが言えます。楽しい雰囲気になりますからね。

 

実際、冠婚葬祭のような社会的行事や、お祝い事やお悔やみ事などでも、ずいぶんお酒を飲みますよね。

 

ですが、この飲み助のようなお酒の飲み方は社会的なものを感じないですね。人生を諦めてしまったようなネガティブなものを感じます。アルコール依存症と言ってしまえば、それはそれで外れてはいないのでしょうけど、著者のサン=テグジュペリはアルコール依存症について書きたかったのでしょうか。

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いずれにしても、この止まらぬ欲求は怖いです。こんな大人にはなりたくないな、と思う人が大半だと思います。

 

子どもを観察していると、子ども同士でワーキャー楽しそうに騒いでいる時は、大人がアルコールを飲んで、盛り上がっているときと似てるなあと感じます。ただ、公園や広場では家の中でも良いですが、走り回っているだけで、追いかけっこしながら楽しそうに大声で笑っている。

 

昼間にもそういうことはありますが、特に夕暮れや夜になってからも結構あったりします。それって、1日が終わりほっとしてストレスを発散している姿にも見えるんですよね。これは、大人の考えすぎかな?朝からワーキャー騒ぐときもありますね。

 

いずれにしても、アルコール抜きでハイテンションになれる子ども達は、ある意味幸せかもしれません。自然に気分の高揚を感じることができる。自分でそういう脳内物質を作り出しているのでしょうね。ですが、ですが、自然にその興奮状態が収まることはなかなかなく、たいていの場合おとなが中に入って鎮める役を務めます。「もう静かにしようね。」と声をかけたり、「おやつだよ~」と違う楽しみに代替してあげたりと。楽しいことって追い求めるものですからね。

 

この飲み助にしても、もっと他に何か楽しいことが見つかればよいのにと思います。もう見つけようとする意欲すら失われているようです。残念ですよね。気づかせてあげる誰かが近くにいないからですよね。

 

たった一人で、惑星に住むと、自分の欲望に振り回されて、自分を見失うことになりかねない。救ってくれる人は誰も近くにいない。

 

なんだか、近年話題の「孤独死」を連想してしまいます。一人でいることは、身軽で自由が多い。その分、失うものもあるのだと感じます。自律心でしょうか。一人でいても、自分で自分を律することができるのは仙人ぐらい。飲み助は仙人にはなれなかったのですね。

 

さて、そんなかわいそうな飲み助の星を後に、王子さまはまた出発します。

 

第13章に続きます。

 

引用元 『星の王子さま』アントワーヌ・ド=サンテグジュペリ 小島敏明訳 第三書房

 

 



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