『星の王子さま』第13章 実業家あるいはビジネスマンの星




こんにちは、育児真っ最中のえりえりです!

 

『星の王子さま』第13章には実業家が登場します。

 

その実業家はとにかく忙しそうです。ずっと計算をしています。王子さまが話しかけても、顔も挙げないのです。

 

おれは無駄話で暇をつぶしたりなんかしないよ!

 

確かに、ビジネスマンにとって時間はとても貴重です。少しでも時間があれば、お金儲けにつなげたいですから。

 

「この惑星に住んで五十四年になるが、ただ三回しか邪魔されたことがない。最初は、二十二年前のこと、どこからか黄金虫が落ちてきた。そいつはいやな雑音をたてた。それで、たし算を四回も間違えてしまった。二度目は、十一年前。リュウマチの発作だった。運動不足なんだ。ぶらぶら歩きをする時間がないんだ。おれは、まじめなんだ、おれは。三度目…それが今度だ!たしか、五憶百万…と言っていたよな…」

 

それにしても、虫やリュウマチの発作が邪魔の原因となるとは。誰かほかの人に邪魔されたのかと期待していたのに。このビジネスマンはずっと1人なのですね。他の惑星の人たちのように。

 

しかし、ビジネスマンは何を数えていたかというと、

 

「怠け者たちを夢想にふけらせる、あの小さな金色のものだよ。だけど、まじめなんだ。夢想にふけっておるヒマがないのだ」

しない。

どうやら、遠くに見える星のことを指しているようです。その星の数を数えてどうするのでしょう。

 

「なんにもしやしない。それらを所有してる」

 

以前に会った王さまは、星を『支配』しており、このビジネスマンはそれらを所有しているのだそうです。なにが違うのでしょうか。

 

「誰かがほかの星を見つけたら、買うことができる」

 

ビジネスマンは自分が最初に所有することを思いついたのだそうです。所有して、管理して、また数えなおすのだそうです。ひたすらこの繰り返し。

 

「ぼくはマフラーを持っている。それを首にまきつけたり、持ち歩いたりできる。ぼくがもし一輪の花を持っていたら、それを摘んで、持ち歩けるよ。だけどきみは星を摘むことはできないよ!」

 

ごもっともです,王子さま!読んでいるこちらが拍手喝采したくなります。しかし、ビジネスマンも負けません。

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「できないね。だけど、それを銀行にあずけることができる。」

「小さな紙切れに星の数を記入するってことだよ。それから、その紙を抽き出しのなかに、鍵をかけてしまっておくのさ」

「それで充分さ!」

 

王子さまは、この考え方は面白いと思いましたが、

 

《かなり詩的だけど、あまりまじめな話じゃないな》

 

と感じたようです。王子さまは、自分の星で持っている火山や花が、お互いのためになることを誇りに思っています。ですが、ビジネスマンは星たちにとって何の役にも立っていないことを指摘します。これはなかなか鋭い分析ですね。

 

ここでも、王子さまは同じ感想を持ちます。

 

《おとなって、本当に、まったく奇妙だな》

 

王子さまの心は真実を映し出す鏡のよう。その感性は透き通っていて、物事の本質をずばりを見抜きます。ですから、大人たちが懸命に何かを行っている姿が滑稽に見えてしまうのですね。その大人たちにとっては真剣勝負そのものなのですが。盲目的に真実って怖いですね。もうほかのことが見えなくなってしまうのですから。

 

「人の振り見て我が振り直せ」ではありませんが、こういう大人たちの姿を見て、自分もそうなっていないか確認したくなります。心の奥底に、似たような願望や欲求を見出しそうになるからです。

 

自分は王さまの態度のように自己中心的で横柄になっていないだろうか。うぬぼれやのように自己愛が強すぎないだろうか。ちゃんと自分の真の姿を知っているだろうか。自分は飲みたい食べたいの欲望ばかりにとらわれすぎていないだろうか。ときには我慢することができているだろうか。そして、自分は目的のはっきりしないゴールに向けて意味不明に数字だけを追っていたりしないだろうか。その行為は、自分の幸せにつながるものだろうか。

 

『星の王子さま』を読んでいると、大人の滑稽な姿がよく登場するのですが、「今の世間にもこういう大人はいそうだな~」と思ってしまいます。ニュースで話題になっている事件を連想して、結びつけたくなります。

 

さて,『星の王子さま』の話はさらに続きます。王子さまはまた違う星へ向けて出発することになります。

 

引用元 『星の王子さま』アントワーヌ・ド=サンテグジュペリ 小島敏明訳 第三書房

 



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