『星の王子さま』第14章 街灯と点灯夫のいる星 いちばん小さな星




こんにちは、育児真っ最中のえりえりです!

 

『星の王子さま』第14章の話をしましょう。この章には,点灯夫という職業の男が登場します。点灯夫とは、街にある街灯に灯を灯す仕事をする人です。現代にはもう存在しない職業ですが、『星の王子さま』が書かれた時代にはまだあったのでしょうね。

 

王子さまは、街灯と点灯夫がいったいどんな役に立つのか、あまりピンと来ていなかったようです。ですが、

 

《この男は理屈にあわないかもしれない。それでも、王さまや見栄張り男や実業家や飲み助よりは、理屈にあわないわけではないな。少なくとも、彼の仕事には意味がある。街灯に火をともすとき、あたかも星をさらに一つ、それとも花をさらに一輪、この世にもたらすようなものだ。街灯の火を消すときは、花や星を眠らせるんだ。これはたいそうきれいな仕事だ。きれいだから、本当に役に立つ仕事なんだ》

 

王子さまは、この大人なら何か価値のあることをしているのではないか、と期待をしたことと思います。意味のある仕事をしている、ということがポイントになったようです。

 

王子さまは、シンプルに点灯夫に質問します。

 

「おはよう。どうしてもいま街灯の火を消したの」

 

こんな風にストレートに訊くことができるのは子どもの特権ですよね。いえ、私でも訊いてしまうかもしれませんが。私も子どもかな?

 

「指示があったんだよ」

 

点灯夫には街灯の火を消すよう指示があったようです。しかし、王子さまはそれを理解できませんでした。

 

「理解することは何もない」

 

と、点灯夫が答えます。少し冷たくも感じます。ビジネスライクなのでしょうね。

 

「ここでおそるべき仕事をしているんだよ。昔は理に適っていた。朝、火を消して、夕方、火をつける。残りの昼間は休み、残りの夜間は眠ったものだよ…」

 

これは普通の点灯夫のサイクルなのでしょうね。そこにどんな変化があったのでしょうか。

 

「星は年々少しずつ速く回転するようになっているのに、指示は変わっていないんだよ!」

「いまでは、一分につき一回転するので、もう一秒も休めない。一分おきに、火をつけたり消したりしてるってわけだよ!」

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どうやらこの星では一日が一分間のようです。点灯夫と王子さまが話を始めてから、もう一か月にもなるとか。三十分話したので、三十日という計算ですね。すごいことですね。この目まぐるしさ!

 

王子さまは、こんなにも指示に忠実な点灯夫のことが好きになります。昔の自分を思い出したのですね。自分で椅子を動かして、日の入りを何度も見ようとしていたことを思い出しました。ですから、この点灯夫を助けてあげたいと思ったようです。休みたいときに休める方法を考えて、教えてあげました。

 

「きみの星はこんなに小さいので、三またぎすれば一周できちゃうね。非常にゆっくり歩いても、いつも太陽を眺められるよね。休みたいときには、歩きさえすればいい…そうすれば、昼間が自分の好きなだけ、続くことになるよ」

 

しかし、名案と思えたこの提案に、点灯夫は全く乗り気ではありません。

 

「そんなことしても、たいして役に立たないね」

「この世で好きなこと、それは眠ることなんだよ」

 

ずっと昼間が続いたら、点灯夫は眠ることができません。

 

「それはあいにくだね」

 

と、王子さまはぽつりと言います。そして、

 

《あの人は、ほかの人たちみんなから軽蔑されるだろうな、王さまからも、見栄張り男からも、飲み助からも、実業家からも》

 

と、冷ややかな感想を持ちます。当たっていると思います。ですが、

 

《でも、滑稽に見えない唯一の人だな。たぶんそれは、自分以外のことに従事しているからだろう》

 

と、冷静に分析して、自分は点灯夫のことを軽蔑しないようです。むしろ、一種の尊敬すら感じますね。実際、王子さまは点灯夫と友だちになれたかもしれないのに、と残念そうです。ですが、二人が住むにはこの星は小さすぎるのです。

 

そして、もうひとつの後悔、それは王子さま自身も認めたくなかったようですが、二十四時間に千四百四十回も日没を眺められるがゆえに、この星にものすごく未練を感じていたということでした。見たかったでしょうね~。残念ですが、この星を後にまた王子さまは出発することになります。

 

第15章に続きます。

 

 

引用元 『星の王子さま』アントワーヌ・ド=サンテグジュペリ 小島敏明訳 第三書房

 



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